最近、マスコミでネット自殺が話題になっています。
自殺について、ネットは両刃の剣というか、自殺したいと思う人の出会いの場(自殺幇助)と、そのような気持ちを癒す場(自殺防止)の両方に使えます。我々の活動は97年に始まり、比較的長く続いており、また、精神科医という専門家が関わっているということで、たびたび取材も受けてきました。
 その中で、私が強調していることのひとつが、自殺防止のむずかしさです。自殺幇助のサイトを立ち上げることは簡単です。ウェブサイトや掲示板を作るノウハウを持っていれば、誰でも作ることができます。でも、そのような気持ちを受け止め、絶望を癒し、再び生きる希望を持てるようなサイトを作るためには、周到な準備と努力が必要になります。どう対応したらよいか、どのような仕組みで交流の場を作るか、トラブルが生じたときはどうしたらよいかなど、慎重に検討しなければなりません。そのために研究が必要となります。
 研究とは、自分がやったことを公開し、広く専門家の意見を求めることです。私の体験から、癒しのMLは、人々の気持ちを癒す効果があると考えていますが、他の人たちにも納得してもらうために、まず、この活動を紹介します。プライバシーが守られる範囲で、こういう効果があるよということを、なるべく具体的に紹介します。それを、学会などの場で発表し、議論を重ねることによって、その効果が実証されます。
 また、我々の活動を多くの人に知ってもらいたいと思います。そのため、新聞やテレビ・ラジオなどのマスコミからの取材は、基本的にお受けしています。
 研究や取材は、決して興味本位からではなく、これからのよりよいネット環境を整え、ネット上で自殺が防止できるようになるために必要なことです。ただし、その前提として、参加する方々のプライバシーと安全が確保されることは大前提です。MLに参加する方々には、以上の点を理解していただきたいと思います。

2003.4.15