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統一理論に向けて

物理学は自然の現象を数学的に記述して理解することによって発展してきました。その顕著な例がアインシュタインの相対性理論です。アインシュタインの相対性理論はリーマン幾何学のを空間の理解に応用したものです。リーマン幾何学とは縦横上下といったまっすぐな座標で記述される空間をこえて、曲った空間、歪んだ空間を扱うことのできる幾何学です。また20世紀の物理学のもう一つの柱である、量子力学は速さや位置といった物理量の概念を作用素という数学的な概念に置きかえることで成立しました。作用素というのは、非常におおざっぱな言いかたをすれば高校で習う行列のことです。

この数学的な記述による自然の理解の方法は驚異的といっていい程にうまくいきました。量子力学と特殊相対論(相対論には2種類あって、慣性系のみを扱える特殊相対論とより一般的な事象を扱える一般相対論があります。)を融合させた理論である場の量子論は標準モデルと言われるモデルによって驚く程正確に自然現象を記述しています。それは、いま知られている4つの力(重力、弱い力、強い力、電磁気力)のうちの3つの力を統一して、そこからのずれはニュートリノについてのことを別に置けば実験によって非常に高い精度で存在しないことが確かめられています。しかし、ずれは発見されなくても、未決定の定数は沢山存在しています。そこからなんらかの数学的な理論が物理の現象全体を記述しているのだという確信を物理学者達に抱かせるに至るようになりました。

しかし、ここで大きな壁が物理学者達の前に立ちはだかります。それは重力の理論と場の量子論を一つの理論として記述しようとすると、無限大の発散が生じてしまい、それに対する処方である繰り込み理論がうまく機能しないということです。さらに問題があります。それは標準モデルは実験に合わせて色々な定数を調整するのですが、その定数がなぜその数なのかというのが分からないことです。ここから、物理学者達の苦闘が始まります。その試みの中でも最も有力な試みが超弦理論です。