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D-brane

1990年代の半ばにはいった時、弦理論はおおきな飛躍を遂げました。 その主役がD-braneという膜です。なぜD-braneが注目の的になったかといえば、弦理論の中で初めての非摂動的な対象がD-braneだったからです。 D-braneの正体は開いた弦達のはじっこです。 逆にいうと開弦はD-braneに端をもつことで初めて存在することができます。

D-braneの発見によって派生した研究はあまりにも多岐に渡るのでここでは紹介しきれません。 とにかくD-braneの発見によって「革命」と呼ばれる程に様々な研究が生みだされました。 その例としては行列模型があるかと思います。

D-braneの考え方は純粋な理論だけではなく、現象論にも影響を与えましたその中でも面白いのがbrane worldと呼ばれるシナリオです。 brane worldの基本的な考え方は我々の住む世界は実はD-braneの中であると思うことです。 すなわち、弦理論の時空の次元は10次元か26次元と決まっているのですが、その中にある4次元のD-braneが我々の世界だというものです。 すこし荒唐無稽に聴こえるかもしれませんが、この大胆なシナリオによって現象論の大問題である、ヒエラルキー問題(世の中の物質の質量は階層をなしていて、その階層はいかにして生まれたかという問題)や超対称性の破れの問題などを説明することができます。