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非可換幾何学

非可換幾何学は、空間に対する数学の新しいアプローチです。ユークリッド以来空間を構成する最も基本的な要素は点でした。点の集合として空間が定義されその定義のもとに幾何学の発展がなされました。

しかし、ここでひとつの定理が登場します。それは、空間を研究することは空間上の関数の集まりを研究することと同じだということを主張しています。つまり、なんでもいいから、関数のあつまりを考えればそれになんらかの空間が対応しているということです。

そこで、新しい発想が生まれます。つまり、関数の集りとして普通ではないものを考えたらどうであろうかということです。普通ではないといっても具体的にどういうことを考えるのでしょうか?二つの関数fとgがあったとします。普通f×g=g×fです。しかしf×g≠g×fだったらどうでしょう。これに対応するような空間というのはもはや一般的に考えられるような空間ではありません。そこには点という概念すら存在しなくなります。このような空間を考える幾何学が非可換幾何学です。

そんな奇妙な空間を考えて何の利益があるのでしょうか?実は、統一理論の邪魔になっている発散はまさに点が存在するということに起因しています。したがって、統一理論の邪魔になっている発散をとり除くための一つの手段として非可換幾何学がつかえないかと考えることができます。現実に、発散の問題を回避している超弦理論は発散の問題を点というものが存在しないことによって回避しており、また非可換幾何としての性質ももっています。非可換幾何学は将来の統一理論に向けた試みにたいする大きなヒントになるのではないでしょうか?

更に新しい考えとしてはf×(g×h)≠(f×g)×hであるような関数の集合を考えるというものがあります。このようにして構成した幾何学を非結合幾何学といいます。実は弦理論の中でも閉じた弦の理論にはこうした、非結合幾何学としての性質をもっています。しかし、非結合幾何学はまさに始まったばかりの学問です。はっきりいって、未経験な研究者である私にはどこをどうしたらいいのか分かりません。それでも、非結合幾何学は新しい物理の理解に何らかの光明を差してくれるものと信じています。